2017年1月1日

東京番外地(九四)

 今思い返しても、あの時のオフクロさん親父さんの笑顔が本当に懐かしい。母親と一緒にいた時間は十二年。親父はまあ私が世帯を持って四年程は神戸の次兄の家に半年、私の家に半年位の割合で行ったり来たりだったから、まあそこそこ孝行も出来たかなと。全く母親にいたっては、「この人は貧乏だけをしに、この世に生まれて来たのかね。」、と、思いますな。しかし、好きな酒だけはタップリ飲めたんだから、ま、良しとしますかネー。
 それでこの帝劇の芝居が終り、次にきたのが何と、美空ひばりサンの新宿コマ劇場一ヶ月公演。帝劇が終ってから半年位たってましたかネ。勿論通り流しという云わば、通行人や他三役か四役位を違う役で。つまりは何んでも屋!例えば金魚売りで引っ込んだら、すぐに着替えて大工役。また、引っ込んで浪人役。引っ込んで商人風等、とにかく忙しい。ま、コレが勉強になりましたな。ひばりサンと云う方は、トニカク凄かったですな。第一にひばり公演の時はギャラが良いんですわ。芝居とショーの二本立てで私等役者はショーは関係ないので芝居が終ればサッサと帰ってよし。一時間半程の芝居だから夕方六時には楽屋を出られる。少し前なら、バイトに行くのだが、この頃は役者仲間と一杯呑むのが何より楽しい頃。したがってバイトは休み。まあ、一応電話は入れるのだが、当然良い返事はない。ウシロメタサを感じつつも仲間との一献はかえがたい!旨い、誠に旨いね〜酒は!!

懐かしのメンバーで!オケ老人

石倉三郎