2015年5月1日

東京で(七四)

俺達と云うかオレだな!俺はどうやって生ければ良いんだァ?!
答が出る程、利巧じゃない!だからいつもシンドイ。この頃、本当に二枚目(今の言葉でイケメン?!フン下らネー!どうしてこういう下らない言葉が流行るのかネー!)に嫉妬したなあ。
って云うのも、照明部にMという男がいて、そら俺なんかが見ても二枚目で、「オメーなんか役者に光を当てるより当てられる方のがいいんじゃねえか?」
なんて先輩達が良く云ってたんだが、ヤッパリ顔だけで大プロデューサーに見初められ何年か辛抱したであろう照明の技術を捨てて役者に転向してきた。
「役者になった方がいいぜ!」なんて言ってた先輩達をドンドコ抜いちゃって、バンバン良い役が付いている。
顔が良いだけで、オレは呆れたネ!
只、二枚目だけで、演技もクソも出来ない奴が、別格の扱いを受けている。無論、ギャラだって半端じゃないだろうし。ハハーン、これが芸能界だな、なんとも呆れるというか凄いというか、イヤいや苦笑いでしたな。

「仲のいい仲間との花見」


それで1年程過った頃、Mは悩んで私みたいな者にまで相談しに来た。
まあ、気分の良い男だったからMとは、普通に接して色々愚痴を聞いてやってるうちに、ヤッパリ役者は辞めた方がいいぜと云うオチになった。
しかし、そうは云っても今更、東映の照明部に戻れない。かといって役者のギャラも捨て難い。奴サン恐らく人生で一番悩んだろうなあ。結局、2年位役者やったのかなあ。

石倉三郎