2016年12月1日

東京番外地(九三)

 それは、ま、考えられるコトは色々有ります。その武士として侍としての役処ですわな。歩きながら、あー静かなもんだ。今日も無事つつが無い日であった。トカ、戦乱の世ならばこそ、今日のこの静けさが続けばな!トカまあ云っちまえばそんな言でしょうかネ、しかしさんざん「歩き方がドーノ何がドーノ」とか云われてる俺が、トテモトテモそんな説明をするなんて恐ろしくてできやしない。それでつい上手に…と小さな声で云ったのですヨ。ハハハ、稽古場中、笑いにつつまれました。
 何やかやでコノ公演中、父親と母親が観に上京してきた。カンベンしてくれよ。こんな仕出し演ってるのを見られたくもないのに!でもまあ会うのは二年以上ぶり、仕方ネーカ、しかし金も無いのに、よく来るよなあ。親というのは凄いネー、けどアタシとしては持ち前の見栄を張るしかない。店の部長マネージャー等に金策して、オフクロはどうでもオヤジをあちこち連れて歩いて、昼間から(丁度休演日)一杯。勿論、お袋サンも、親子三人良く飲むネー。お袋は別に見物したい処なんぞ無いと云う。親父はヤレ日本橋だ浅草だってんで忙しい男だったネ、でアパートに帰ってきて、この頃は四畳半三畳の二間借りてたから、お袋は驚いた「あんた凄いやんか!二間もあんの。」「何が凄いんや。三畳の間はベッドひとツで足の踏み場もないで。ホラホラこの四畳半足らずの部屋で呑むんやで。」てな事で三人酒!ワアーワアーいいながら呑んで夜は更けていきやした。

「オケ老人」プレミアム試写会。
お愉しみに!

石倉三郎