2009年8月1日

小豆島で生まれて。(五)

全く他人事だと思ってたのに、クラスで一、二を競う友が
「サブちゃん、俺といっしょにマジックショーやろや!」
「エッ!何やて?」
人前で何かやる?冗談じゃない、そんな恐ろしい事。
目立たぬように目立たぬように、生きてきたのに、
「お前みたいに、学校を楽しんでる奴と、一緒にせんといてくれ、
ワシなんかにそんな大それた事、出来る訳無いやろ、堪忍してくれや」
「何云うとんじゃ、サブちゃん面白いがな、絶対やれるて」
「けどなあ、ワシ頭、阿呆やしなあ」等、色々ありまして、結局やる事になった。
迎えた当日、朝からノドはカラカラ、心臓はドキンドキン、顔は真っ青、
何でこんな事引き受けたんやろ、ああどうしよう死にたい。
なんて、それはもう生きた心地じゃない。
しかしドンドン出し物は進行していって、ついに出番になった。
仕方ない!エエ〜イどうでもなれ!!

「ヤマロク醤油/醤油ワッフル初挑戦!」


これが受けた、イヤー受けた!!
生まれて初めて、先生や親達が笑っている。
大笑いしている。
貧乏人の頭の悪い俺を見て、大笑いしている。
「何ンか平等やなあ」と、何故かそんな事思ったネ。
こんなワシでも、人は面白ければ笑ろてくれるんやと。

石倉三郎