2015年4月1日

東京で(七三)

とうとう口から出ちまった。最初から嫌な奴だなと思ってた通りの展開になっちまった。
「文句じゃねえだろ!オメーがグダグダ絡んでんじゃネーカ!寝てて悪かったって、謝ってんだろ!テメーの耳は只の飾りか!馬鹿野」
まって云ってる内にバチーンと張られ、後はお定まりの、殴り殴られ組んず解れつ。その内、回りに止められて、お互い腫れ上がった顔で午後イチの撮影へ。
こういう時、私は、ついてます。通行人の役だから、先輩野郎はバーの客役か何かって、助監に笑われたらーい。ざまあ見やがれ。このつまらない先輩とも、長い間、上手くいかなかった。

「CMの合間に」


大体において大部屋は知らないけど、東映においては、年に一度の挙友会の納会というのが、夏の8月に一泊りで東映の関連施設へ行く、さあそこでの夜の宴会での騒ぎというのが並じゃない。
兎に角、日頃のウップン(先輩後輩同輩等の互いのミミッチイ恨み事)挨拶が無えとか、先輩が立ってるのに座ったままで話をしたとか、イチイチあげたらキリのない話を始める。
一切無礼講という建前だから、先輩もクソもない。とにかく乾杯―!グット飲む。コップを置くや否や後輩或いは同輩先輩入り交じっての殴り合い。
静かにニヤニヤしながら呑っている先輩。誰も止めないのだから仕方ない、その内、疲れ切って寿タン赤タン鼻血タラタラで、呑んでいる。
無駄な事ばかりやってたなあ。皆、何とかしたいんだよなっちゃんとした役が欲しい。
齢ばかり喰って、これから果して俺達。

石倉三郎