2013年6月1日

東京で(五一)

屋上のベンチに座ってボーッとしてても、腹は減る。
考えてみたらこの3日程で二食しただけだ。よし、喰うか!デパートを出て、
アパートまで歩く間、キョロキョロと路地裏を探して安食堂に飛び込む。
たぬきうどん+メシ大盛!旨いの何ンの!夢中で喰った。
関西人は「江戸のウドンは不味い!」と云うが俺は思わない。つゆの色が黒いだけだ。
とにかくすきっ腹に不味い物無しだ。
さすがに今は余り食べないが、それでもロケーションで朝一番手の仕事の時、都内ならばうまくすると立ち喰いそばの店は、やっているのでロケ弁を喰うよりは余程いい。
メシは喰えないが、このタヌキうどんは、好物ですな。
このうどんを食べると必ず当時を思い出すから面白い。

「長兄・次兄と」


でまあ、煙草なんかくわらせながらブラブラと部屋に戻る。
後は唯一の楽しみの銭湯へ行くだけだ。江戸の銭湯は熱いからネー。
年寄り連中はいつも同じ顔ぶれで長い事遊んでる。東京弁が心地良い。
この人等を見てるだけで、よし東京で頑張るぜ!と思ったなあ。
早いトコ東京に溶け込みたかった。
大急ぎで上がって仕度する。
年寄り連中に、「夜の仕事は大変だなあ。深夜1時迄かい?ふうん〜ま、頑張んな兄チャン、又、明日な!」なんて声に送られて、サー今日も頑張るぜー!と腹の中で東京弁を使って、
「ほな、お先に出まっさ〜オオキニ有難さんです。」と口から出るのは大阪弁。
いつか照れずに云いたいもんだ東京弁。
夕方5時前にタイムカード押して、さあ夜中1時迄。このスーパーが現在では当り前になった深夜スーパーの走りなのだ。

石倉三郎