2012年8月1日

大阪時代(四一)

会社に行くバスに乗ってるあいだ中、どう言おうか・・・と考えてたが、結局見栄っ張りな俺、
「イヤー受かったでー!次は東京で試験やーまあ、この勢いで行ったら、どっちゅう事ないやろ!」
「ホンマけえ!凄いやないけえ!やっぱお前オモロイもんなあ」
書類選考でオモロイもクソもないのだが、「まあ、職工生活とはオサラバヤー!」てんで内心を隠して、心の内じゃ、どないしょう、参ったなあ、これはもう、会社を辞めなしゃあないやろなあ、と。

「映画村の向日葵畑」


二次審査は来年二月、いくらか時間はある。一月一杯で全てに決着つけなければならない。
成人式があって、と言っても別に一月十五日になっただけだが、一応大人と言う事になった夜、兄キに「兄チャンの言う事は、よう分かってる。けどワシも大人になったんやしとにかくどうなるか分からんけど、東京へ行かしてくれや!頼むわ。モチロンお母ンにはキッチリ仕送りするよってに。
迷惑はかけへんから。」
「アホ、まだお前そいな事言うてんのか、もう知らんぞ!勝手にせえ!しかしお母ンにはキチンと金
送ったれよ!」
「判った!判ってんがな!」
兄キも、多分この時、諦めたんだろうな俺を。しかし、ついに己の思いを夢を実行に移せる時が来た。
嬉しい反面、あの兄キが許した、と言うのが、逆に不安になり、ヤッパリ俺は間違ってるのかなあ、
しかし今さらにドースル!・・・ヨ。

石倉三郎