2010年4月1日

小豆島で生まれて。(十三)

と、まあ云う訳で、焦りは募る一方で、もうイヨイヨ三月、卒業間近。
ホトホト困った。
暗い顔して本か何か読んでた時、次兄が帰ってきて、
「オイ、お前就職どうするんや!ボーッとしやがって、何考えとんねん!
やる事キッとせんかいド阿保!!」
この次兄、我が家の大黒柱。
長男が養子に行った後、この次男(名を祥行「ヨシユキ」という)が全て取り仕切っていて、
親父なんかも顔色を伺うような男。

「富丘八幡宮にて」


育英資金か何かで高校を出て、外にあっては、そこそこ当たりもいいのだが、
内においては、キツイの一点張り、気の小さい小生なんか、
この兄がいるだけで気詰まりで、なるべく顔を合わせないようにしていたぐらいで。
しかしとうとう捕まってしまった。
「え!イヤアー俺はその俺なりに考えて、手品師になろうかと・・・」
とここ迄云ったとき
「コノ阿保ンだら!!お前!何考えとんじゃ!!手品!?お前は何ンでそんな阿保やネン!
そんなゴグドーな事考えとったんか!常識というモンが無いんかオマエは!!」
まあ凄いモンでした。
今思い返してもあの兄キの絶望した顔、ハッキリと浮かびますネー。
という訳で次回へ

石倉三郎