2017年5月1日

東京番外地(九六)

 「懐かしなあオッチャン。元気かいな」「いや明日のお母チャンの式、行かして貰うさかいになあ。ええ人やったで。面白うて女にしとくの勿体無い位の人やったで。豪快でなあ。」「借金溜めてまへんか?」「イヤイヤ、ないで。ようしてもろたで。」「そうでっか、ま一杯下さいや。」てな事で呑むのだけど、一向に酔わない。参ったこれは!酒という奴は本当に気分だネ、二時間程やり過ごして、帰った。すると次から次へと弔問客が引きもきらず、オドロイタ!!お母ンの顔の広さに。近所サンは云うに及ばず、銭湯で会ってた人達、前にパートで働いていた処の人達。今で云うスーパーの店主さんとか、まあ、あらゆる人達が来て下さった。イヤー家族一同改めてオフクロの凄さを感じ入った次第である。
 考えて見りゃあ、やっぱり親不孝だったかなあ。しかし、大阪に居ても将来は無かったし、仕送りだけは毎月キチンとしたし、まあ、それで許して貰おう。手前に都合の良いように納得させて東京に戻った。サー泣いてるヒマなどない。事務所に連絡が入れる。「申し訳無かったです。今、帰ってきました。「すぐに稽古場行って下さい。午後一からやってますから。制作部には了解取ってます。」恐る恐る行くと別に何ということはない。仲間達だけが「ドーシタ?風邪でも引いてたか?」ぐらいの事で全く何の差し障りがある訳じゃない。ホットすやら情無いやら、売れなきゃ存在してないんですな〜この世界!!

誕生日

石倉三郎