2017年9月1日

東京番外地(百ニ)

 外で飲む時ゃ焼酎ハイのみ。たまに少し金がある時は、まずビールを頂いて、アノ旨さを味わって後に酎ハイ。コノ酎ハイボールも一杯だけで後はほとんど焼酎のみ。ご他聞に漏れず酎の中へ一味唐辛しを放り込んで、掻き混ぜ飲む、噂ではこれを一気に呑んで、百メートル程走ったら、フラフラに酔うと云うが、そんなひんのない事はしたくない。大して旨くもないサケだが楽屋酒よりはいい。やっぱり世間の中で呑むからなのか、楽屋酒の方が圧倒的に酒が高価だし、第一こんな凄い酒達をサラリーマンの方々だって、そうは飲めないだろうしネー。けれど外で金払って飲む酒の方が、どういう訳だか良いんですなあ。もっとも初日から楽日まで徹底的に楽屋酒の猛者もいるから、ま何ンともハヤですがネ。
 今現在の商業劇場は、もう全て警備上の問題等で幕が下りたら一、二時間の内に楽屋を出なければならない。さすがの私めも楽屋酒は遠のきましたがね。何故か懐かしいのですよ。若い俳優サン達は皆、楽屋酒?て?な感じですよ。アレダケ両親の酒で苦労させられたのに、蛙の子は蛙ですかなあ、しかし酒が無けりゃ果たして、生きてこられたかなあ……なんぞと思う訳であります。小生に限らずしかし、東映時代にしろ舞台の世界にしろ、誠に皆サン、良くお飲みになりますわ。
 酒は百薬の長。命の泉。酒無くて何の己が桜かな、てなモンでして、まあ酒は気違い水とも申しますが。イヤ〜実にドーモでございやす。

石倉三郎