2009年10月1日

小豆島で生まれて。(七)

さてさて、夢と希望が全く無い、不安100%の中学へ。
たった一つだけ、やりたくてやりたくて、仕方のなかった憧れの柔道部!
授業なんぞはそっちのけで熱心にやってた。
五ヶ月たった頃、顧問の教師が
「お前の使っている柔道着は部のモノだから返せよ。道着は自分で買えよ。」
買って来いって云われても、1500円もの大金有る訳がない。
当時、長兄が土庄という町で結婚していて、
「入学祝いに、柔道着買ってやるから」
と云われていたんだけど、その兄に相談するにも、電話なんて無いし、
相談した処で、兄キだって持ってる訳がない。悩んでた時、閃いた!
部屋の隅に、カビの生え放題の先輩連中が捨てていった柔道着が、
三、四着丸めてある。

「エンジェルロード」


三年生の主将に相談したら、
「ああ、エエで」と、
それで程度のいい奴を選んで、持ち帰り、
サア、洗いに洗って、それ着てやっていたのである。
誰も着ないのだし、捨ててあるようなモノなんだから、
使わせてくれてもいいと思うのだが、
結局、退めざるをえなくなり、気分は最悪!

石倉三郎