2015年2月1日

東京で(七一)

こういったスタッフ照明部や衣裳部の手伝いをしてると、思召があると、かといって余り目に余るような手伝いしてると、これはこれで又、色々役者仲間から何かとネ。
で、ほぼ運び終って、ドーラン塗ったくって、助監督から、出番シーンカットの説明聞いて(何故、助監から説明を受けるかと云うと、俺等ペーペー迄には脚本が渡らない。役付きの役者迄で、先輩連中でも一人か二人位しかいない。)
ヨーイスタート!!夏はまだ良いのだか、冬場の北海道の山、海は寒い。
しかし、これ位の事で愚痴云ったら、バチが当る。とにかく意気軒昂たるモンで楽しい日々。何んたって俳優として端っこにいられるのだからね嬉しいの何のったって気分はパラダイス!

「共演中の美代子。カワイイ〜」

「共演中の美代子。カワイイ〜」


 大部屋俳優の下の我等フリー部俳優達。まあ、当時五人程でしたか、一ッ部屋で宿泊しいて、ある時、初めて寝過―た!と云っても30分程だったが。目覚めると誰もいない。
昨晩ちょいと飲り過ぎて、寝る前に後輩に、「明日、もし寝過したら起こしてくれよ。」と頼んではいたのだが、案の上、起こしてくれなかった。
実はこの男とは余り上手くいってない。まあ、トチる事はなかったのだが、
「お前、何で起こされんだ!」
「イヤ、済まん。先輩に煽られて起こすヒマが無かったから。」
「ヒヤ?お前、降に寝てんだぞ。このヤロー!」
「済みません。カンベンーて。」
クソ面白くねえ野郎だ。
結局この野郎とは東映辞めるまで、上手く行かなかった。

石倉三郎