2010年8月1日

小豆島で生まれて。(十四)

折角の東京なんだから、少し位見物すればいいものを、
そういった気持ちは全くなく、それより映画映画。
後で東京営業所の先輩に、
「お前映画なんか、大阪でも観られるやろ、何で電話せえへんネン」
と、半ば飽きれ顔で云われたなあ。
子供の頃から好奇心という奴が余りなく、イヤ仕事、働くという事に関しては、
色々好奇心というか、アレもコレもやりたいなあと思ってたけども、
今だに、何処かに行く(遊びで)なんて事は全く興味が無く、
家でゴロゴロが最高の時間ですなあ。

「道頓堀の今」


てな訳で映画館を出て、空きっ腹かかえて大阪へ帰り着き、
翌日又、一所懸命会社へと、 せっせせっせと工場へ。
しかし何か走って映画観て、帰って来ただけなんだけど、
何かこうチョットだけ大人びたかなあと思いましたな。
「アレは何だったんすかネ〜。」
ヤッパリ東京なんだぜと、勿論当時から藤山寛美さん率いる松竹新喜劇あり、
吉本喜劇ありで大阪にも有名劇団はあるんだけども、
やっぱり映画だと思い込んでいるので、 東京に行かなきゃあ仕方ネー。
当時はまだ映画会社もニューフェイスというのを募集していて、
まあ犬もニューフェイスというのは、男前美人というのが相場。

石倉三郎