第十八回
2025年4月19日(土)~2025年8月30日(土)
台湾金甘蔗映画祭は、2006年に民間の発起により設立され、「100%の自由、100%の甘さ」を理念としています。台湾がかつて戒厳令にあった時代、政府による言論と思想を統制される象徴でもあった「金馬奨」に対し、金甘蔗映画祭は台湾の言論自由と創作自由の時代が到来した象徴と言えます。
「甘蔗」は中国語のサトウキビのことです。金甘蔗映画祭は毎年、冬のサトウキビの収穫期に開催されます。はるか昔の大航海時代から、台湾は既に「アジアの砂糖の島」として知られており、サトウキビはこの島の経済の生命線でした。昔から今でも、砂糖の生産は台湾の主要な経済基盤の一つとなっています。
金甘蔗映画祭は「現地撮影・現地編集・現地発表」というスタイルを貫き、20年近くにわたり台湾で最もエネルギッシュな映画祭となっています。また、地域魅力を再発見する機会を生み出し、新世代の映画に新たな活力と地域の物語を吹き込んできました。映画祭の開催期間中、映画制作関連者と地元の人々がつながり、共に創作することができ、地域の特性が映画という芸術に溶け込み、さらに映画製作関連者の視野や社会への関心を広げる役割も果たしています。
金甘蔗映画祭は10周年の際に、自らの国旗、国歌、パスポートを持つ「甘蔗共和国」を設立しました。これは、国際で台湾が国家として認めていない現状を背景に、映画という表現を通じて、国境を超え、「自由」と「創作」の名の下に新たな国を築くという理念を作り上げたものです。
今回の展示では、歴代の金甘蔗映画祭を振り返りながら、各地の人々の暮らしや風土を見ることができます。また、過去の作品を通じて、撮影技術の変化、撮影機材の進化、そして新たな映画言語の誕生を感じ取ることができるのでしょう。作品で使われる言語は、日本の観客にとって馴染みがないかもしれませんが、人間としての感情は世界共通です。
『二十四の瞳』と同じように、国境を越えて人間として共通の感動を描くことこそが文化交流の本質であり、日常の中に深く根付いているのではないでしょうか。
この展示では、映画祭の作品だけでなく、金甘蔗映画祭が約20年間にわたって記録してきたドキュメンタリーや、私たち自身の夢を歌にした楽曲もあります。いつか瀬戸内海で金甘蔗映画祭を共催し、共に映画を撮り、希望の海へと出航する日が来ることを心から願っています。
映画祭の歴史
●歴代アンバサダー:台湾の有名な俳優林依晨、呉朋奉が映画祭のアンバサダーを務めた。
●開催回数:これまでに16回開催(※新型コロナウイルスの影響により2年間中断)。
映画祭の発展と地域とのつながり
●初期の拠点:創設初期は橋仔頭製糖工場を拠点とし、第7回以降は移動型の撮影へと発展。
●撮影地:大林浦、美濃、林邊、小琉球、台北、台南など。
●年間参加者:毎年約100名以上の台湾内と海外の映画創作者が集結。
●作品数:約300本の短編映画、台湾の短編映画資料館として最も重要な存在。
●「地域創生の救世主」と称され、撮影チームと地元住民の交流を生み出す場となる。
映画祭の評価と影響力
●オリジナリティと地域との結びつきにより、台湾の映画業界・文化界から高い評価を受ける。
●歴代審査員:
◦ 国家文芸賞受賞者:張照堂、呉瑪利、王榮裕
◦ 金馬奨最優秀ドキュメンタリー映画賞選考作品『種土』:監督と主演が金甘蔗映画
●映画祭が培った監督:
◦ 第12回金甘蔗映画祭優秀作品賞受賞:孫介珩
◦ 金馬奨最優秀ドキュメンタリー映画賞選考作品『種土』:監督と主演が金甘蔗映画祭の中心メンバー
観客の広がりと映画祭の影響力
●毎年約200名のメンバー(映像制作チーム+ボランティアスタッフ)が参加
●各短編映画の視聴者数は、最低でも1,000人を想定